美しい

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは町に出かけた帰り、雪の中で何かが動いているのを見つけました。「あれはなんだろう？」おじいさんは罠にかかっている1羽の鶴を見つけました。動けば動くほど、罠が締め付けるので、おじいさんはかわいそうに思いました。「おやおや、かわいそうに。さぁ離してあげるよ。これからは気をつけるんだよ」そうして鶴を助けあげると、鶴は山の方に飛んで行きました。家に帰るとおじいさんはおばあさんに「さっき罠にかかった鶴を助けてあげたんだ。今日は良いことをしたなぁ」と話しました。そう言うとドアを叩く音が聞こえました。「誰でしょう？」とおばあさんが玄関を開けたところ、美しい娘さんがそこに立っていました。「雪で道に迷ってしまいました。どうか一晩、ここに泊めていただけないでしょうか？」「そうかい。今夜は特に冷える。さぁお家に入って」娘はこの言葉に喜び、そこに泊まることにしました。その日から娘は、おじいさんの家で暮らすようになりました。ある日娘はこう言いました。「わたしにはたを織らせてください。はたを織っている間は、決して部屋を覗かないでください」「分かりましたよ。素晴らしい布を織ってください」次の日も次の日も女性は、はたを織り続けました。3日目の夜に音が止むと、一巻きの布を持って、娘は出てきました。それは今まで見たことがない、とても美しい布でした。これは鶴の織物というものです。これを町に行って売ってきてください。きっとたくさんお金がもらえますよ」次の日、おじいさんは街へ出掛けて「鶴の織物はいらんかね」と歩いていました。するとその織物は、とても高く売れ、喜んでお家に帰りました。次の日も娘は、また織物を始めました。トントンカラリ　トンカラリ　3日が過ぎた時、おばあさんはおじいさんに言いました。「どうしてあんなに美しい布が織れるのだろう？ちょっと覗いてみよう」娘が決して見ないでくださいと言ったのを忘れて、2人は部屋を覗いてみました。するとなんと1羽の鶴が、自分の羽を抜いてはたを織っているのです。その夜に娘は織物を持って、部屋から出てきました。「おじいさん、おばあさん、わたしは罠にかかっているところを助けてもらった鶴です。恩返しに来たのですが、姿を見られたので、もうここにはいられません。このご恩は決して忘れません。長い間、ありがとうございました」娘はそう言って手を広げると、鶴になって空に舞い上がると、山の方に飛んでいってしまいました。

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは竹を切って、おばあさんは竹でかごを作って暮らしていました。ある日のこと、いつものように竹林に行くと、１本光っている竹がありました。「おや、あの竹はどうしたんだろう？ピカピカ光っているぞ」切ってみると中には女の子の赤ん坊がいて、おじいさんはその女の子を連れて帰りました。おじいさんとおばあさんには子どもがいなかったので、「かぐや姫」という名前をつけて、大切に育てました。それからというもの竹を切りに行くたびに、おじいさんは竹の中にお金を見つけて、お金持ちになりました。赤ん坊はすくすくと育ち、とても美しい娘になりました。その美しさが噂になり、色んな所から、結婚を申し込みにたくさんの男性がやってきましたが、かぐや姫は興味を持ちませんでした。かぐや姫はいつも物思いに耽り、空を見上げていました。おじいさんは男性を無視することもできなかったので、不思議な宝物を持ってきた男性にかぐや姫をあげることにしました。かぐや姫のために宝箱をたくさん持ってきましたが、かぐや姫はすぐに偽物だと見破っていました。かぐや姫は月を見るたびに悲しそうな顔をしていました。「どうしてそんなに悲しい顔をしているんだい？」とおじいさんがかぐや姫に聞きました。「本当はわたしは月からきたのです。もうすぐ月からお迎えが来て、月に帰らなければいけません。優しいおじいさんとおばあさんとお別れするのが悲しいのです」「なんてことだ！」とおじいさんは戸惑いました。明日がその日です。おじいさんはかぐや姫を手放したくはありませんでした。おじいさんはたくさんの武士を雇って、かぐや姫を守ろうとしました。とうとう夜になり、お月様が姿を現しました。月が現れると、空が金色に光りました。武士たちは光をめがけて矢を撃ちましたが、光が当たると武士たちは力を失い、眠りに落ちてしまいました。天使が光の中から現れ、かぐや姫の手を取ると、空高く上がっていきました。かぐや姫は天に昇っていき、最後にこう言いました。「おじいさん、おばあさん、今まで可愛がってくれてありがとう。わたしはこれから月に帰らなければいけません。どうかいつまでも元気で。さようなら、、、」

青い海の底に、人魚の住む世界がありました。人魚たちの世界では、15歳になると海の上の人間の世界に行けるようになります。末っ子の人魚姫は、お姉さんが見てきた人間の世界の話を聞いて、いつも胸をときめかせていました。「早く15歳になって、人間の世界を見てみたいわ！」月の明るい夜、15歳になった人魚姫は海の上に顔を出しました。海に上には、たくさんの灯りをつけた船が浮かんでいました。「素敵な王子様ね」人魚姫は王子様を見て、うっとりしていました。船からは綺麗な音楽や笑い声が聞こえます。すると突然、嵐が船を襲い、王子様は海に落ちてしまいました。人魚姫は海に落ちた王子様を助けて、海辺まで運びました。「王子様！しっかりして！」人魚姫は王子様に呼びかけ続けました。するとどこからか女の人が近づいてきたので、人魚姫はびっくりして身を隠しました。女の人は王子様を抱き抱えると、息を吹き返しました。「あ、ありがとう。あなたがわたしを助けてくれたのですね」王子様は目の前にいる女の人を、恩人と勘違いしてしまいました。それから人魚姫は人間になって、王子様の側にいたいと思うようになりました。人魚姫は魔女のところに行って、人間にして欲しいと頼むと、こう言いました。「お前の美しい声をくれ。お前の声は海の中で1番美しいと評判だからね。もし王子様が他の人と結婚すると、人魚には2度と戻れず、海の泡になってしまうんだ。それでもいいのかい？」人魚姫は頷きました。人魚姫は薬を飲むと、浜辺でぐっすり眠ってしまいました。しばらくして目が覚めると、側に王子様がいましたが、人魚姫の声はもう出ません。「きっと何か訳があるんだね。しばらく僕のお城で休んでいきなさい」王子様はそう言って、人魚姫をお城に連れていき、妹のように可愛がりました。ある日、王子様が嬉しそうに言ったのです。「僕は結婚するんだ。僕が海で溺れた時、助けてくれた女の人とね。その人は隣の国のお姫様だったんだ」人魚姫は「助けたのはわたしです！」と叫びたかったけど、声を出すことができません。人魚姫はただ悲しそうに笑っただけでした。とうとう王子様の結婚が迫ってきました。その夜、人魚姫のお姉さんが海に浮かんできてこう言いました。「人魚姫、魔女に頼んでナイフをもらってきたわ。これで王子様の胸を刺せば、お前は泡にならなくて済むのよ」人魚姫はナイフを受け取り、王子様の寝ている部屋に忍び込みました。でも人魚姫には、愛する王子様を殺すことができません。人魚姫は涙を流しながら、ナイフを海に投げて、自分も海に飛び込みました。海に朝の光が差し込んできました。人魚姫は海の泡となって、消えていきました。